ラフマニノフの歌曲集、作品21「12のロマンス」の第7番「Zdes' Khorosho(ここは素晴らしい場所)」がとんでもなく美メロ。そして超ロマンチック。
自分はこの曲をピアノ編曲から知ったのですが、何と美しいメロディーなこと!!
ラフマニノフで言えば「ヴォカリーズ」や「リラの花」も歌曲で素晴らしい名曲ですよね。(どちらのピアノ編曲も大好き)歌ものはやはりメロディーが強くてポップス育ちの自分にはめちゃくちゃ刺さります。
この曲のちょっとした作曲エピソードが素敵なのといくつかの素晴らしいピアノ編曲を見つけたので(自称ピアノマニアw)楽譜も含め紹介してみたいと思います。
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ラフマニノフの歌曲「ここは素晴らしい場所」とは?
ラフマニノフの歌曲「ここは素晴らしい場所」は歌曲集となっている作品21「12のロマンス」の中の第7曲。
ロシア語の原題は「Zdes' Khorosho(ズヂェーシ・ハラショー)」で英語では「How Fair this Spot」、「How Nice it Is Here」、「How Beautiful It Is Here」、「Where Beauty Dwells」、「How Peaceful」などで表記されてます。
1902年に作られた作品で、この年にナターリヤ・サーチナと結婚。色々なバッシングを乗り越えて創作意欲も回復した後で非常に幸せで充実した時期です。この曲は妻に捧げた作品で、まさにラブソング。歌詞は女流詩人のG. ガリーナの詩が乗せられています。
この歌曲集の中では第5曲の「Lilac(ライラック、リラの花)」は特に有名でラフマニノフ自身もおそらくかなり気に入っていて、自分でピアノ編曲もしています。
珠玉のピアノ編曲版4選+番外編
Raymond Lewenthal(レイモンド・レーヴェンタール)
アメリカのピアニスト。故人。アルカンの作品再評価への貢献で知られています。レーヴェンタール自身がアンコールピースとして好んで演奏してたとのこと。
あまり派手な事は施されていなくて、素朴な素敵さを残したアレンジかと。それでも要所で聴かせどころも用意されていて、もし弾くとしたら一番クセなく弾きやすいのかなと思ってます。
Arcadi Volodos(アルカディ・ヴォロドス)
ロシアのピアニスト。超絶技巧で有名でリスト、ラフマニノフなどのトランスクリプションを積極的に取り組んでいて録音も残しています。
超絶技巧が特徴でもありながらこの編曲に関してはバランスがいいなという印象。技巧的過ぎず、ピアニスティックにしっかりと歌心を持って、華やかに行くところはテクニカル過ぎずに動きのあるフレーズが入っていて、個人的には一番弾いてみたい編曲かもしれません。
Earl Wild(アール・ワイルド)
アメリカのピアニスト。故人。トランスクリプジョンやジャズなども演奏するのが特徴的で、ラフマニノフのヴォカリーズの編曲でも有名です。
さすがワイルドという凝った編曲でかなり煌びやかになっていて、原曲よりも長く聞き応え弾き応えもある仕上がりになっています。
Vyacheslav Gryaznov(ヴァチェスラフ・グリャズノフ)
ロシアのピアニスト。非常に才能のあるピアニストでありながらもモスクワ音楽院で助教授としても活躍している教育者でもある。
ピアニスティックながら音に厚みを持たせて、決して音数が多いわけではないけどどっしりとした編曲という印象。最後に華やかなフレーズを持ってきている辺りが心憎いですね。
こちらの編曲も凄く気にいっていてヴォロドス版と迷うところ。
この動画の後半約2分半が「ここは素晴らしい場所」の編曲になっていて、また別の動画でどのように編曲していったのかという過程を撮った動画も公開されています。
Yo Yo Ma(ヨーヨー・マ)&Kathryn Stott(キャサリン・ストット)【番外編】
番外編として世界的なチェリストのヨーヨー・マとイギリスのピアニスト、キャサリン・ストットのデュオを紹介。
1985年から長年パートナーを組んでいる二人の演奏は素敵な熟年夫婦を見ているようで、演奏の質、シチュエーション、表情どれを取っても素敵でしかありません。
おわりに
ラフマニノフの歌曲「ここは素晴らしい場所」に関してピアノ編曲版を中心に書いてみました。
元々の原曲が実体験に伴って幸せな時期に作られた作品なので非常にメロディーの美しい曲で、曲の長さも程よい感じなのでピアノで弾くとなっても割と取り組みやすいのかなと思っています。
ピアノ編曲版も素晴らしい物ばかりで、近いうちに実際に弾くのに挑戦してみたいですね。(ヴォロドスとグリャズノフが最有力)
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