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交響曲の中でも非常に人気の高いグスタフ・マーラーの交響曲第5番「アダージェット」

弦楽器だけで構成された天に召されるような美しい楽曲です。非常に美しいながらもどこか憂いのような雰囲気もあって味わい深さもありますよね。

映画やアニメでも使用されていて、どこかで聞いたことがあるかもとなる名曲。クラシック好きになる一歩を踏み出せるような、そんな楽曲としても是非おすすめしたい1曲。

あまりにも有名な曲なので曲の概要はほどほどにして、ここでは「ピアノ編曲版」をメインにいくつか紹介してみたいと思います。

好みは分かれそうな所ですが、やはりピアノ・ソロ愛好家としては興味が出てしまう所でして、調べてみたらいくつか美しい編曲を見つけたので5つ挙げてみました。

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グスタフ・マーラーの交響曲第5番「アダージェット」とは?

▲ヴァーツラフ・ノイマン指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

1902年に完成させた全5楽章からなる5番目の交響曲。「アダージェット」は第5番の第4楽章。別名「愛の楽章」とも呼ばれる。「暗→明」という伝統的な展開のメロディアスで比較的分かりやすく親しみやすいのが特徴的。マーラーの代表曲の一つです。弦楽器だけで構成されていて、ハープが使用されているのが印象的。

この曲を作曲している時に妻となるアルマ・シントラーと出会って結婚した時期で、この第5番第4楽章はアルマのために書かれた愛の調べとのこと。

マーラーは、

「私がどれほどあなたを愛しているか、我が太陽よ、それは言葉では表せない。ただ我が願いと、そして愛を告げることができるだけだ。」

という詩を残しているほど。

マーラーも一筋縄ではいかない人生を歩んでいますが、やはり愛を強く感じている時の楽曲は、他の作曲家も同様に充実してる時期が多く極上の美しい音楽が生み出されますよね。ショパン、ラフマニノフ然り。

美しいながらどこか切なさも感じるこの楽章は、自分の心が切なく憂いている時はとことん切なさに引っ張られるし、幸せや美しいという感情が強い時はどこまでもその感情に引っ張られるような壮大さ、魅力があると思います。

映画「ベニスに死す」で使用されているのが特に有名で、その他アニメ「銀河英雄伝説」や「花より男子」、ドラマ「白い影」、「それが答えだ」、「たんぽぽ」など様々な作品で登場します。

動画はノイマン指揮の演奏ですが、大巨匠のカラヤンやバーンスタイン指揮の録音も極上です。

 アルバム

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美しいピアノ編曲版4選

Beatrice Berrut(ベアトリス・ベリュ)編

スイス出身のピアニスト。リストの作品に積極的に取り組んでいる事でも有名。

2022年にリリースされたアルバム「マーラー、シェーンベルク〜ユーゲントシュティル」というアルバムの中に収録されている編曲です。

「ユーゲントシュティル」というのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを席巻した芸術の様式で、ベアトリス・ベリュ自身がこの時代の音楽を愛していることからこのトランスクリプションのアルバムが生まれたみたいですね。

懸念される音数や迫力ということに関して、そこまで音数が多いという編曲ではないかもしれませんが、絶妙なバランスで組み立てられている気がします。生ピアノで弾いた時の響きが実に美しくてその繊細なハーモニーを楽しむ編曲になっているのかなと。

盛り上がる聴かせ所所、弾きごたえのある箇所もしっかり用意されていて中々に味わい深いと思いますね。バランスがホントに良い。

テクニック的なレベル感がいけるかも!と自分で思える事もありますが、この編曲が一番弾いてみたいと思ってます。

楽譜はこちらから。

 アルバム

編曲:Karol A.Penson(カロル・A.ペンソン)/演奏:Cyprien katsaris(シプリアン・カツァリス)

フランス出身の世界的に有名なピアニスト、シプリアン・カツァリスが弾いているKarol A.Penson(カロル・A.ペンソン)の編曲版。内声の処理が非常に上手く、変態的な追求と上手さは知れ渡っていますね。

2008年リリースの「Piano Rarities - Vol. 1: Transcriptions」の中の1曲で、他の曲もそこまで押さえてるの!?という面白いアルバム。

細かいところや盛り上げが独自の味付けをされていて、ほほぉ〜、そんな感じでアレンジするんだ!という箇所がありつつ割と原曲に忠実な仕上がりになっていると思います。

ちなみに編曲物、トランスクリプションの演奏に積極的に取り組んでいるカツァリス関連で、この曲が含まれているアルバム以外にもペンソンをフューチャーした「Karol A.Penson Transcriptions」というアルバムもあります。

カロル・A.ペンソンは物理学者でもあるという異色の経歴で、そこがまた新たな視点を生み出しているのかなと思います。

Alexandre Tharaud(アレクサンドル・タロー)編

フランス出身のピアニスト。国際的に活躍しているピアニストで元々作曲もしていたことから様々な冒険的アプローチもしている。

2020年にリリースされたアルバム「Le Poete du piano」に収録されている1曲。

この編曲はかなり面白い仕上がりになっていて、原曲とは一味違っています。緩急がついていて静かなところは静かに、展開するところはダイナミックに独自の解釈を激しく盛り込んでいます。

交響曲のピアノアレンジはどうしても大人しくなりがちですが、これを聞けばそれも吹き飛ぶのかなと思いますね。

楽譜はこちらから。

 アルバム

編曲:杉山洋一/演奏:黒田亜樹

編曲したのは杉山洋一さんで、現代音楽の作曲家・指揮者。演奏はピアニストの黒田亜樹さん。

2014年にリリースされたアルバム「20th Century Transcriptions for Piano」に収録されている1曲で、お二人は現在イタリアのミラノ在住ということで、アルバムがリリースされた時にもミラノに住まれていたのかは分かりませんが、そのような繋がりもありこのようなコラボレーションが生まれたのかなと思ったり。

アレクサンドル・タローの編曲もダイナミックで新しい感じですが、こちらはまた違った意味でアルペジオの音が敷き詰められた超絶技巧の仕上がりになっています。メロディーを浮き立たせるのが大変そうw

こちらもピアノ編曲の物足りなさを補って、いや、少し別の作品にもなったのではないかというくらいのピアノ作品になってます。

 アルバム

Vyacheslav Gryaznov(ヴァチェスラフ・グリャズノフ)編

ロシアのピアニストでこのアレンジは左手専用となっています。

非常に才能のあるピアニストでありながらモスクワ音楽院で助教授としても活躍している教育者でもある人物で、この楽曲以外にもラフマニノフ「イタリアン・ポルカ」やグリンカ「幻想的ワルツ」の編曲などがかなり有名です。

このブログの中でもラフマニノフの「ここは素晴らし場所」の編曲でも名前を挙げていますが、非常に多彩な音楽家ですよね。

2021年にリリースされた「Western Piano Transcription」に収録されている1曲。

ラヴェル の「左手のためのピアノ協奏曲」から影響を受けているようで、左手だけなので音数が多いわけではありませんが、その制約の中でメロディー、内声、主に低音部で弾くという所での弾き方など、様々な課題や視点が見えてきそうで勉強になる編曲かなと。

楽譜はこちらから。

 アルバム

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おわりに

グスタフ・マーラーの交響曲第5番「アダージェット」の概要と「ピアノ編曲版」について書いてみました。

ピアノ編曲に関してはオットー・ジンガーなど他に有名な方もいますが、今回は自分が良いなと思ったお気に入りの編曲を紹介してみた次第です。

交響曲をピアノで表現するのは難しい事だと思いますが、自分でも弾いてみて、ちょっとでも交響曲のテイストに近づけながらピアニスティックな面を追求していけたらと思います。

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