10代の頃にアニメで知り、エンディングの「月迷風影」に惚れ込んでから小説にハマり今でも定期的に読み返す、読み返したくなる。十二国記シリーズは自分にとってそんな作品です。
読むたびに自分の人生と向き合う・襟を正すという感じですね。年齢重ねるごとに感じる事は変わってきますが、もうね、読んでると刺さる刺さる。笑
ちょっとした大きなスパンでのルーティンみたいになってますね。
異世界の世界観がとにかく好みで、それに加えて心理描写が秀逸で、かなり考えさせられるのが特徴的。「生きる難しさと如何に対峙していくか」という骨太なテーマになっていますので、何かにつまずいていたり、少し生き辛さを感じたりしている時に読んでみると何かヒントをもらえるかもしれません。
というわけでそんな「十二国記」シリーズの魅力や小説に出てくる名言、個人的な面白い順のランキングをお送りしたいと思います。
Contents
「十二国記」とは?
fa-historyあらすじ
十二国記は、神仙や妖魔の存在する中国風の異世界を舞台にしたファンタジー小説シリーズである。この異世界には十二の国が存在し、各国は王政国家である。麒麟が天の意思を受けて王を選び、王は不老の存在となり天の定めた決まりに従って統治を行う。このような舞台設定は、予言によって政治社会などを予測した古代中国の讖緯(しんい)思想をベースにしており、人外の存在たちは山海経(せんがいきょう)が参考にされている。地球と十二国の世界は隣り合っており、天災「蝕」によって地球人が十二国の世界に流されることもあれば(海客)、十二国の世界に生まれるはずの人間が生前に流されて地球に生まれることもある(胎果)。シリーズでは、本来あるべきでない場所に生まれた胎果や故国から引き離された海客、十二国の世界の人々の冒険や苦難が描かれるが、十二国すべてが舞台となるわけでない。政治を行う王、理想や野望を抱く官吏、市井の民などの多様な立場の人々が、過酷な運命のもとで必死に生きる姿を描いた骨太の物語である。新潮社の担当編集者は「全編に貫かれているのは、生きることの難しさと如何に対峙していくかであると思います。」と述べている。
Wikipediaより引用
fa-bar-chart作品概要
小野不由美作のシリーズ物で、最初の「魔性の子」が1991年にから始まって2019年の「白銀の墟 玄の月 」で長編は一旦終了しています。短編はリクエストがあれば、という感じみたいです。「魔性の子」以降のシリーズは、魔性の子の背景世界を物語にしたもの。単行本としては短編・長編併せて9冊出ていますが、短編の「丕緒の鳥」は前作から12年、「丕緒の鳥」から「白銀の墟 玄の月 」まで6年空いていて足掛け28年の超大作になっています。
期間の空き具合はハンターハンターもびっくりですが(笑)それでも面白すぎるから待ててしまうんですよね。待ちに待った長編の最新刊「白銀の墟 玄の月 」はそりゃもうね、貪るように読みましたよ。思っていたより10倍くらい骨太な内容でびっくりしたんですが、楽しく読ませてもらいました。
アニメもNHKで2002年から2003年にかけて放送されていて、全45話。小説の全てがアニメ化されている訳ではなくて、「月の影 影の海」、「風の万里 黎明の空」、「東の海神 西の滄海」、短編から「書簡」、「乗月」のみがアニメ化されています。他の作品のアニメ化も期待しています。
最近では、週刊少年ジャンプで連載中の「呪術廻戦」の中で、「残穢(ざんえ)」という言葉と「第0巻"東京都立呪術高等専門学校"の主人公・乙骨憂太(後の呪術廻戦本編でも出てきます)」が十二国記の「魔性の子」の高里要、泰麒のオマージュになってたりします。
fa-book最新刊
個人的な思い入れ
余談になってしまうのですが語らせてください。笑
僕がこの作品と最初に出会ったのは、アニメからです。たまたまBSの放送でやっていたのを見たのがきっかけです。
最初に書いたようにエンディングの「月迷風影」が最高すぎましたね。この曲のお陰です。アニメを見るときはぜひ歌を飛ばさないで聞いてほしい!
この曲のCDが欲しすぎてダメもとで地元のCDショップ行ったら奇跡的にシングルが売ってた!!という想い出なんかもあったりします。
その流れで小説も読み始めたのですが、どハマりしてしまいました。大学受験の期間にハマってしまって、ガッツリ読んでしまってましたからね!(お前は何をやっとるんだ)
そんなに本を読むほうではなかったのですが、この小説が本好きになるキッカケにもなっています。
fa-musicCD
「生きることの難しさと如何に対峙していくか」という骨太なテーマ
世界観がものすごく重厚で、現実世界とは違う面が多々ありますが、この十二国記の世界はより現実世界のルールや摂理が可視化されている感じがします。
それでも、人々の悩む様や葛藤は同じくあり、十二国記の世界では一般の人間が王に選ばれたりするので、その悩みや葛藤、あるいは傲りなどが顕著だと思います。
この本の特徴は、別タイトルでそれぞれ主人公が違うという事です。短編以外であれば初心者がどれから読んでも、他の内容を分かっていなくても読めるものがあったりします。
中でも魔性の子の次に発売された「月の影 影の海」の主人公・中嶋陽子(慶王)が際立っている印象があります。この作品は小野さんが少女向けに小説を書いていて、そのファンレターで色々と悩みを聞いていてそのアンサーとして出した作品だそうです。
確かに世界観や設定などが少女向きではない重厚な感じがしますが、自分の居場所や自分とはどういう人間なのか?という思春期に思うような悩みもふんだんに入っていますし、中学生・高校生くらいの子は響くものがあると思います。
もちろん、大人の僕らでも「人生と向き合う」という意味で抜群に惹きこまれますし、考えさせられます。
自分を愚かだと気づかずに行動し、どこかで失敗して、裏切られて、でもそこで色々なことを気づき、時には良き人との出会いが自分を変えてくれる。そして愚かな自分でも良い人生を歩めるのかと苦心しながらも歩んでいくという、「人が成長する様」は読んでいて心にくるものがありますよ。
人によってはさもすれば話が難しい印象もあるかと思いますが、僕としては言葉使いが「雅」な感じがするのがまた好きだったりします。
アニメ版「十二国記」
小説がちょっと苦手だなという人はこちらから見てみることをオススメします。
アニメのオリジナルの登場人物がいたりしますが、基本的に話は同じでめちゃくちゃ面白いです。
なんならアニメの方が迫力があるシーンもあったりする。
そして、口説いようだけどアニメのエンディングである「月迷風影」を聞き逃さないでほしい!!笑
YouTubeより引用
fa-tv十二国記のアニメ
小説「十二国記」の名言・名ゼリフ
このセリフは圧倒的でした。陽子のセリフなんですが、「月の影 影の海」から読んでいると、このセリフを言った陽子にも感慨深さを覚えます。
「真実、相手に感謝し、心から尊敬の念を感じたときには、しぜんに頭が下がるものだ。礼とは心の中にあるものを表すためのもので。形によって心を量るためのものではないだろう。礼の名のもとに他者に礼拝を押しつけることは、他者の頭の上に足をのせて、地になすりつける行為のように感じる。」
「私は慶の民の誰もに、王になってもらいたい。」
「地位でもって礼を強要し、他者に踏みにじられることに慣れた者の末路は昇紘の例を見るまでもなく明らかだろう。そしてまた。踏みにじることを受け入れた人々がたどる道も明らかなように思われる。人は誰の奴隷でもない。そんなことのために生まれるのじゃない。他者に虐げられても屈することのない心、厄災に襲われても挫けることのない心、不正があれば正すことを恐れず、豺虎(けだもの)に媚びず、−わたしは慶の民にそんな不羈(ふき)の民になってほしい。己という領土を治める唯一無二の君主に。そのためにまず、他者の前で毅然と首を上げることから始めてほしい」
「その証として、伏礼を廃す。−これをもって初勅とする」
めちゃくちゃかっこいい。
アニメで見るとこのシーンはもっとかっこいいですね。
小説「十二国記」の個人的ランキング
第6位「風の海 迷宮の岸」
幼(いとけな)き麒麟に迫り来る決断の時──神獣である麒麟が王を選び玉座に据える十二国。その一つ戴国(たいこく)麒麟の泰麒(たいき)は、天地を揺るがす〈蝕(しょく)〉で蓬莱(ほうらい)に流され、人の子として育った。十年の時を経て故国(くに)へと戻されるも、役割を理解できぬ麒麟の葛藤が始まる。我こそはと名乗りを挙げる者たちを前に、この国の命運を担うべき「王」を選ぶことはできるのだろうか。
この話は全体的に平和的というか、他の作品と比べると少し物足りないなぁと思ったり。(笑) 泰麒が饕餮(とうてつ)という伝説の妖を指令に下すところはかなり面白いですね。
第5位「東の海神 西の滄海」
国が欲しいか。ならば一国をやる。延王(えんおう)尚隆(しょうりゅう)と延麒(えんき)六太(ろくた)が誓約を交わし、雁国に新王が即位して二十年。先王の圧政で荒廃した国は平穏を取り戻しつつある。そんな折、尚隆の政策に異を唱える者が、六太を拉致し謀反を起こす。望みは国家の平和か玉座の簒奪(さんだつ)か──二人の男の理想は、はたしてどちらが民を安寧(やすらぎ)に導くのか。そして、血の穢(けが)れを忌み嫌う麒麟を巻き込んだ争乱の行方は。
もう正直言って、この辺からは全部面白い!延王のこの謀反での立ち回りがすごく彼らしくて、僕としては憧れますね。あいつ大丈夫か?と思われつつ、やることしっかりやってるみたいな。雁において色んな意味で重要な話。
第4位「月の影 影の海」
「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨(さまよ)う陽子は、出会う者に裏切られ、異形(いぎょう)の獣には襲われる。なぜ異邦(ここ)へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤(どとう)のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸(ほとばし)る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。
「わたしは、必ず、生きて帰る」──流れ着いた巧国(こうこく)で、容赦なく襲い来る妖魔を相手に、戦い続ける陽子。度重なる裏切りで傷ついた心を救ったのは、〈半獣〉楽俊(らくしゅん)との出会いだった。陽子が故国へ戻る手掛かりを求めて、雁国(えんこく)の王を訪ねた二人に、過酷な運命を担う真相が明かされる。全ては、途轍(とてつ)もない「決断」への幕開けに過ぎなかった!
主人公である陽子の最初の話。陽子がどうにか生き延びるために様々な戦いや葛藤を経験するところはですね。共感しまくりです。人間の弱さというか、それをあぶりだされるような、そんな感覚。楽俊と出会ってからも中々信頼しきれなくて、それでも楽俊は見捨てずに付き合い続けてくれて、そこから色んなことがうまくいき出すところは感慨深いものがあります。延王が出てきたところからは本当に爽快で、楽しみながら読んでましたね。
第3位「図南の翼」
国を統(す)べるのは、あたししかいない! 恭国(きょうこく)は先王が斃(たお)れて27年、王不在のまま治安は乱れ、妖魔まで徘徊(はいかい)していた。首都連檣(れんしょう)に住む少女珠晶(しゅしょう)は豪商の父のもと、なに不自由ない暮らしを与えられ、闊達な娘に育つ。だが、混迷深まる国を憂える珠晶はついに決断する。「大人が行かないのなら、あたしが蓬山(ほうざん)を目指す」と――12歳の少女は、神獣麒麟により王として選ばれるのか。
これはですね、黄海での話がメインですが、もうね、ジャングルをサバイバルしてるような臨場感がありまして。妖怪が跋扈するこの黄海での旅で王になるために旅をする人がたくさんいるんですけど、自分ならどうするか...自分ならこうするけどなぁ...とかそんな気持ちで読んでました。珠晶は確かに年相応な感じもありますけど、一番柔軟でしたねぇ。大事です。ゾクゾク感を感じつつ、めちゃくちゃ自分と対話していた話です。
第2位「風の万里 黎明の空」
人は、自分の悲しみのために涙する。陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。祥瓊(しょうけい)は、芳国(ほうこく)国王である父が簒奪者(さんだつしゃ)に殺され、平穏な暮らしを失くし哭(な)いていた。そして鈴は、蓬莱(ほうらい)から辿り着いた才国(さいこく)で、苦行を強いられ泣いていた。それぞれの苦難(くるしみ)を負う少女たちは、葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも幸福(しあわせ)を信じて歩き出すのだが──。
王は人々の希望。だから会いに行く。景王陽子は街に下り、重税や苦役に喘ぐ民の暮らしを目の当たりにして、不甲斐なさに苦悶する。祥瓊は弑逆された父の非道を知って恥じ、自分と同じ年頃で王となった少女に会いに行く。鈴もまた、華軒(くるま)に轢き殺された友の仇討ちを誓う──王が苦難(くるしみ)から救ってくれると信じ、慶を目指すのだが、邂逅(であい)を果たす少女たちに安寧(やすらぎ)は訪れるのか。運命は如何に!
これもめちゃくちゃ面白いですね。陽子が王であることを最後まで隠して、圧政を強いる馬鹿野郎どもに仲間とともに立ち向かうのがね、たまらん。ちょっとモニタリング感があるかな。笑 同時に鈴と祥瓊の話も展開していて、二人とも最初、王である陽子のことを恨んでいたのに、自分の無知や何も行動を起こしていないことを自覚して、良い方向に成長していくのが非常に感じるものが多くてですね。自分の人生はやはり自分で掴み取っていくもの、他者のせいにしていても何も変わらない、自分の人生に当事者意識を持って生きることの大事さをわからせてくれます。最後のこの騒動の納めるところは読んでてすごくスカッとしますね。
第1位「黄昏の岸 暁の天」
王と麒麟が還らぬ国。その命運は!? 驍宗(ぎょうそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風(はやて)の勢いで再興に向かう。しかし反乱鎮圧に赴(おもむ)いた王は戻らず、届いた凶報に衝撃を受けた泰麒(たいき)も忽然(こつぜん)と姿を消した。王と麒麟を失い、荒廃へと向かう国を案じる将軍は、命を賭(と)して慶国(けいこく)を訪れ、援助を求める。戴国を救いたい──景王陽子の願いに諸国の麒麟たちが集う。はたして泰麒の行方は。
正直、1位と2位はめちゃくちゃ迷いました。三日三晩飲まず食わずで考えました。(嘘)でもこれを1位にしたのは、スケールの大きさと次への期待ですね。だってほとんどの国(全部ではないけど)を巻き込んで戴麒を救う話で、もう神様というか神様みたいな人とか出てきちゃったし。陽子のこの道無き道を行って前例を作っておきたいという心意気と、世の理りをはかるようなところを攻めてるところにワクワクが止まらなかった。。。大きな戦いとかではなくて、どちらかというと知略戦で、見えざる敵と戦ってるような感じでしたけど、めちゃくちゃ面白い。おそらく次は知略戦だけでなく、大きな戦いもあるかもしれません。それとやっぱり李斎の熱い想いですね。なんとかしたいとホント必死で訴えかけてくるところにグッときます。