小曽根真さんの音楽が大好きです。
毎日のように聴いては、はぁ〜めちゃくちゃ良い、と感動しています。
でもしっかり聴くようになったのは割と最近で、前から名前は知っていたんですけどクラシックとジャズにはあまりハマりきれていなくてほとんど聴いてなかったんです。
ピアノを始めてから数年経って(大人になってからピアノ始めました)、じわじわとクラシックとかジャズが入ってくるような体になってきた!?のもあると思いますが、クラシックにハマり、ちょっとずつジャズにも進出してガッチリとハマるキッカケをくれたのが小曽根さんの「We're All Alone」(ピアノソロ)です。
そこから他の曲も聴くようになって、特にスローなバラード曲に惚れ込んでます。
タイトルに小曽根さんの"魅力"なんて書いてますが大げさかと思いますし、よく知ってる人からすればほんのうわべに過ぎないかもしれません。ですが小曽根さんの音楽のこの曲が好き!ここがヤベェ!とか思い入れなんかをまだ日が浅いなりに、少しなら書けると思いましたので、自分が小曽根さんを知ってからのハイライトを軸に魅力をとにかく好きという情熱だけで書いてみました。(ほんとにまだまだ勉強不足は否めませんがw)
もうね、アレなら全然読まなくてもいいからとにかく載せてる動画の演奏だけでも聴いてほしい。(でも...ちょっとは読んで欲しいかも笑)
少しでも小曽根さんの音楽を知ってほしいと思って、あんまりまだ知らないって方や好きな情熱を共有したい方は読んでいただけたらと。それと、やっぱりピアノでめちゃくちゃ弾きたくなると思うので(かなり難しいけど)最後の方に楽譜の情報なんかも書いてます。
Contents
小曽根真とは?
1961年3月25日、神戸市生まれ。5歳の時にピアノを習い始めるけども、家にはジャズピアニストでハモンドオルガン奏者の父がいて、バリバリに大人が使う楽譜なんかを見ていたので、子供用の大きなおたまじゃくし(音符)とかバイエルがうまく弾けたら、ハイ、合格みたいな感じが馬鹿にされてるみたいに思ってハモンドオルガンに転向。これらの話はライブとかラジオとかでも、「生意気な子供だよね(笑)」と笑いながら話されています。
12歳の時にオスカー・ピーターソンのコンサートをかぶりつきの席で聴いて、衝撃を受けてピアノを再び始める。15歳でプロデビュー。1980年にバークリー音楽大学に入学。83年に作編曲科を首席で卒業。在学中にゲイリー・バートンやチック・コリアといった巨人達と出会ってます。ちなみに同級生にはダイアナ・クラール、ブランフォード・マルサリスなどがいる。卒業してすぐにカーネギーホールでコンサートを行い、クインシー・ジョーンズに見出されて米CBSから「OZONE」で世界デビュー。
今現在でもコンスタントにアルバムをリリースして、コンサートを行なっています。2020年には緊急事態宣言下で53日間自宅からライブ配信したことも話題になりましたね。
手は結構大きくて3音10度掴めるくらいの大きさ。オスカー・ピーターソンに憧れて、手を酢につけて伸ばしていたらしくて左手は右手よりも少しだけ大きらしい。
関西人らしく明るくて気さくな人柄でまさにオスカー・ピーターソンのハッピーが身上の演奏とマッチしてますよね。最近の角野隼人君のラジオでの共演が個人的にはかなり気に入ってて、明るい人柄が炸裂してると思います。
小曽根真の魅力
世界一大好きな小曽根真アレンジの「We're All Alone」
初っ端から超個人的になってしまいますが、もうね、この曲が好きすぎる。
自分にとっては全てが詰まってるこの曲、小曽根真アレンジの「We're All Alone」。
アメリカのシンガー・Bozz Scaggs(ボズ・スキャッグス)の歌です。Rita Coolidge(リタ・クーリッジ)のカヴァーなんかも有名ですね。
原曲よりも先にこのピアノ・ソロアレンジを知りました。原曲もすげぇいい曲なんですが、小曽根さんのアレンジ、味付けが超たまらない。
この曲のピアノソロ・アレンジがキッカケでジャズにもガッチリハマっていけたと言っても過言ではありません。
小曽根さんはこの曲の思い出として、昔ディスコに通っていた時にチークタイムでよく流れていたと語っていますが、とにかく素敵。素敵過ぎるんですよ。
出だしの煌びやかな分散和音から、しっとりとした序盤から徐々にお洒落で味わい深いフレーズが加わって盛り上がっていき、人生山あり谷ありだけど、楽しもうぜ!みたいにグングン来る大サビに突入。このノリとたまらない響きの和音が織りなす歌心に痺れましたね。
音楽って素敵だなぁと、ホントにそう思わせてくれた曲です。
昔、小曽根さんがパーソナリティを務めていた「Oz Meets Jazz」のスポンサーであったアサヒの黒生のCMで使われていましたが、ピアノ・ソロだけじゃなくトリオでの演奏も超素敵です。
このピアノ・ソロは2000年発売の「WIZARD OF OZONE〜ベストセレクション〜」に入っています。
ピアニスト・角野隼斗との繋がり
今をときめくピアニスト・角野隼斗君との繋がりがこれまた熱い。
東大卒、人気YouTuber、ショパンコンクール・セミファイナリストなど肩書き、話題が尽きませんが、その角野君が小曽根さんのファンで、影響を強く受けているというのが凄く嬉しくてですね。
実は角野隼斗推しでもある自分です。笑(ショパンコンクールも予備予選から追ってました)
最近ではストリートピアノもそうですが、盛り上がりを見せているピアノ界隈で、これからアイコン的な存在になっていくであろう、今の時代を象徴する一人だと思います。
この盛り上がりを見せる流れで、角野君を通して小曽根さんの音楽が改めて世に出て行くのは、もうね、たまらない。(笑)ホントにみんなに聴いて欲しいなと。
色々なジャンルの音楽が好きな角野君の感性が最高だし、その彼に「ぶっ刺さった」小曽根さんの音楽もまた最高だよなと。音楽だけじゃなくて、今までの「音楽人生」そのものが角野君の感性に響いて、受け継がれている。たまらねぇです。
二人のここ最近のエピソードとしては、小曽根さんのコンサートで角野君を客席から呼んだり、と来れば角野君がブルーノートでコンサートをした時に小曽根さんを呼んで一緒に弾いたり、小曽根さんの家で「welcom to our living room」さながらの雰囲気でインスタライブをしたり。
もうまるで親子のような雰囲気もまとってますよね。
全国ツアーの最中のノリに乗っている時に「読響プレミア公開録画」でガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」に挑む筈だったのに、体調を崩してしまい、急遽代役を小曽根さんが勤めることになった、というエピソードもかなり胸熱です。
信頼関係あってのことだと思うし、この「ラプソディ・イン・ブルー」を代わりに弾く人としては、もうこの人しかいないよねという感じでした。小曽根さんカッコよすぎるよ...。
小曽根さんの「ラプソディ・イン・ブルー」が一番好きだと言っている角野君。二人にとってさらに特別な曲になったんじゃないかと思うエピソードです。
このコンサートに向けてこのコンチェルトを弾き込んできた隼斗くんの代役にはならないけど、僕の感じるガーシュウィンを精一杯届けられるように弾かせて頂きました。
リハもできなかった状況で僕を信頼して下さった読響さんと太田弦さんにも本当に感謝です。
とにかくゆっくり休んで下さい☺️🙏
— makoto ozone (@OzoneMakoto) February 24, 2022
珠玉のバラードが最高
日本人ジャズ・ピアニストの中ではかなり有名な人ですし、それこそ世界の有名なジャズマンとも共演多数の百戦錬磨の経験と実績がありますが、やっぱりなんと言っても曲が良い!
小曽根さんの演奏はオスカー・ピーターソンの影響もあって、ハッピーで明るさが前面に出てるのが持ち味の一つかと思いますが、僕はこのバラード曲達にめちゃくちゃ惹き込まれました。
「We're All Alone」の続きになるのですが、次点で紹介したいのが「Asian Dream」。
小曽根さんの自作曲でとにかく気持ちがいい。アジアンテイストの音がホントに心地良くて、音のベッドでふわふわと浮かばせてくれるような浮遊感がありますね。
この曲は「So Many Colors」と「Ballads」、Live DVDの「Alive!!~Live at Blue Note TOKYO」に入ってます。Blue Note TOKYOのAsian Dreamはまた違ったアレンジになってますがめちゃくちゃ極上。こんなん最高過ぎです。
そしてElvis Costero(エルヴィス・コステロ)が歌う「She」。
原曲はCharles Aznavour(シャルル・アズナヴール)の「tous les visages de l'amour(忘れじのおもかげ)」。映画「ノッティングヒルの恋人」で有名な曲で、それを知らなくてもサビなんかはどこかで聴いたことがあるかもってくらいに有名な曲かと思います。
小曽根さんのアレンジは最後のサビで絶妙な盛り上がりがありながらも終始しっとりと大人の雰囲気が漂っていて超素敵。「We're All Alone」ほどのダイナミックさは無くとも、終始大人のジャズって感じで、もうね、すげー浸れちゃいます。笑
この曲をエルヴィス・コステロが歌ってますが、彼の奥さんがダイアナ・クラールでバークリーの同級生なんですよね。なんかそれも関係してるのかなぁなんて思いを巡らせたりしてるんですが、どうなんでしょう。
これらの曲以外にも特に気に入ってるのが、
- Story(ストーリー)
- Hymn To Freedom(ヒムトゥフリーダム)
- Lake Thun(レイクトゥーン)
- Pure Thoughts(ピュアソーツ)
- Reborn(リボーン)
- After(アフター)
- Gorgeous(ゴージャス)
- Home(ホーム)
- Listen(リッスン/耳を澄ませて)
- For Someone(フォーサムワン/誰かのために)
どれもホントたまらないバラード曲ばかりです。
まずは手始めに「Ballads」、「Falling in Love Again」、「WIZARD OF OZONE」を聴いてもらえればと思います。
ラプソディ・イン・ブルーの遊び心
「のだめカンタービレ」でも有名な曲ですね。
この曲はアメリカ出身のGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュイン)の曲です。
小曽根さんも度々、このラプソディ・イン・ブルーを演奏していて、代表する1曲になってるかと思います。
まずは楽しそうに弾く。この弾き姿を見るだけでワクワクしますし、ジャズ屋ならではの、もうとんでもねぇ遊び心をぶち込んでくるからそれがもう楽しくて楽しくて。飽きさせない引き出しの多さ。全員が好きになるというのは難しいかと思いますが、即興はハマる人には抜群にハマる爆発力がジャズにはありますよね。
もちろんクラシック側の人の純粋な技術、構築美からくる崇高な美しさ、この曲が持つ茶目っ気からくるギャップなんかもたまりません。
そういう意味で色んな人の聴き比べが面白いかもしれません。ジャズの人も、クラシックの人も弾いてる曲なので。それこそ今をときめく角野隼人君も弾いてて、ジャズの大西順子さんの演奏も有名ですし、クラシックではバーンスタイン、ユジャ・ワンなんかも演奏してます。
いつか生で聴いてみたい曲の一つですね。
ちなみに、僕みたいな趣味でピアノをやってる人間にはオーケストラとの共演は死ぬほど(いや死んでもw)ハードルが高いですけど、ピアノソロをガーシュインは残してるのでそちらをいつか弾けるように頑張りたいと思います。
クラシックへの挑戦
小曽根さんはクラシックにも挑戦しています。
それこそモーツァルトのコンチェルトから始まって、ショパンやラフマニノフ、プロコフィエフに渡っています。
昔はクラシックには前向きじゃなかったみたいですが、モーツァルトのコンチェルトをキッカケにクラシックの奥深さに魅力を感じて、それから弾き続けてるみたいです。これはチック・コリアの音楽に対するスタンスも影響してるのかなと思います。二人でモーツァルトを弾いたりもしてますからね。
昔は色々と思うところもあったのかもしれないけど、変化を受け入れて、今のボーダーレスな活動はめちゃくちゃ応援してます。
僕はオールショパンのアルバム「Road to Chopin(ロード・トゥ・ショパン)」がめちゃくちゃ気に入ってます。
エチュードの10-4だけは原曲そのままで録音されているというストロングスタイル。そして珠玉のジャズアレンジ達。これはショパンもさぞ喜んでるだろうという仕上がりです。これまた素敵過ぎる。
特に「ノクターン2番」、「ワルツ7番」、「マズルカ13番」は秀逸。
ノクターンは結構しっとりめ。原曲のメロディーの良さを残しつつ大人なジャズに変身。ワルツ7番はですね、超ヤベェ。これはもう傑作なんじゃないでしょうか。ラテンジャズ風に仕上がっていて、途中はもうリベルタンゴみたいになってて、でもしっかりワルツ7番なんですよ。超かっこいい。マズルカ13番はちょっと暗めな哀愁がある感じの曲ですが、マズルカの独特のリズムにジャズが絶妙に乗っかってきて見事なハーモニーを形成してます。
どれもYouTubeに上がっている素敵な動画を載せておきます。
楽譜の情報
知りうる限りの楽譜情報を載せておきます。
- "Time" Vol.1〜3(小曽根真さん監修)
- 月刊Pianoプレミアム 極上のピアノ2016春夏号、THE BESTに「We're All Alone」が収録。ただ絶版で値段が上がってます。
- ピアノソロ(中級) 情熱大陸 葉加瀬太郎セレクションに「We're All Alone」が収録。こちらも絶版で値段が上がってます。
- 「summer☆meron楽譜SHOP」でとあるラジオで披露された「猫踏んじゃった」が販売されています。
- 「藤川譜面SHOP」に「We're All Alone」、「She」、「Story」、「Pure Thoughts」、「Hymn to Freedom(自由への賛歌)」が販売されています。
- 「楽譜作成販売 竹の音」でピアノ・ソロでは「DEAR OSCAR」、「Don't Slice It!」、「SPIN AROUND」、「ONLY WE KNOW」、「Story」、「Asian Dream」、「あこがれのリオデジャネイロ」が販売されています。
まとめ
とあるインタビューで、
演奏家はどんなにうまく弾いても、お客さんの感性によって受け取り方は変わるんです。僕がロックを演奏すると、お客さんの頭の中でドラムが鳴る。これが音楽のすばらしいコミュニケーションなんです。
みなさんの中に 意識して聞いていなくても、「小曽根さんの曲を聞いていると、オーケストラみたいな音がする」という声をいただくことがあります。それは、お客さんの想像力、イマジネーションの力。「すばらしい」と受け止めてくれるお客さんの感性がすばらしいんです。
と語っていて、この言葉はとても印象に残っています。
これからも小曽根さんの音楽に感動していくと思うし、それだけじゃなくていろんな事に感動できる、思いを巡らせられる自分でいたいなと、そう思います。
まだまだ勉強不足、情報不足かもしれませんが、少しでも小曽根さんの音楽に触れてもらえたら嬉しいですし、僕もこれからもたくさん聴いて楽しみながら色んなものを吸収したいと思います。
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