スイス出身のBeatrice Berrut(ベアトリス・ベリュ)というピアニストが実に味わい深い。
容姿は非常に可憐ながら、その作品選びや実力、スタンスは非常に骨太でディープな世界です。
どこかクールで哲学的ながらも、個人的な体験や思いが丁寧乗せられた奥深い世界も垣間見えるんですよね。
素人ながらですが、深く入り込める"没入感"が非常に魅力でお気に入りのピアニストです。
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ベアトリス・ベリュとは?
プロフィールとキャリア
スイス出身。1985年生まれ。スイスのヴァレー州のモンテイという場所で育っています。(リアル"アルプスの少女ハイジ"の世界です)
母親の影響で幼い頃からクラシック音楽に親しみ、8歳の頃に初めてレッスンを受ける。
ローザンヌ音楽院からチューリッヒ・ノイハウス財団で研鑽を積み、その後、ヴィルヘルム・ケンプの弟子であるジョン・オコナーに師事。
今現在まで様々なコンサートや音楽祭、オーケストラとの共演を重ねている。
「フランツ・リスト」を主軸に据えている事で有名で、これまでにもいくつかのアルバムでその演奏を披露している。
「ベーゼンドルファー」を愛用していることでも有名。
フランツ・リスト作品
リストは若い頃にスイスを訪れて、巡礼の年第一年「スイス」という作品も残しているスイスとは縁深い人物。
その繋がりと感性にシンパシーを感じリストが彼女の音楽の中心になったとのこと。
リストは若い頃の「超絶技巧」や「ナルシスト」、後年の出家した信心深い僧侶となったエピソードなどのイメージに引っ張られがちですが、非常に沢山の弟子がいて、ユーモア溢れるいわゆる"陽キャ"と言われるような陽気な人物エピソードもあることから、「自由な感性」など、その人柄や深い所での創造性など、その世間的なイメージに隠れて潜んでいる部分が非常に魅力的なのかもしれません。
そのリストの人間臭いところを捉えて表現しているかのようです。
ベアトリス・ベリュは今までに「Liszt」、「Athanor - Liszt: PianoConcert Nos. 1 & 2: Totentanz」、「Metanoia - Liszt: Piano Works」のリスト作品を録音しています。
編曲物やトランスクリプションが興味深い
自分自身がマーラーの「アダージェット」のピアノ編曲から出会ったのでより感じるのかもしれませんが、これらの交響曲やピアノ以外の楽器で奏でられている曲をピアノに編曲して可能性を追求しているようにも思えるんですよね。
2022年にリリースされた「Jugendstil」はマーラーとシェーンベルクの曲を自分自身の編曲で構成してますし、バッハの曲が収録されている「Lux aeterna: Visions of Bach」はジロティ(リストの高弟)やブゾーニの編曲を積極的に取り入れて演奏しています。
この辺りのスタンスを見ると新たな何かに挑戦する気概と橋渡し的な存在を感じます。クラシック音楽を今の感性で奏でて、繋いでいくという精神性が見えるような気がします。
ベアトリス・ベリュが奏でるおすすめ曲
交響曲第5番「アダージェット」/グスタフ・マーラー
G線上のアリア/J.S.バッハ
ロ短調ソナタ/フランツ・リスト
おわりに
ピアニスト、Beatrice Berrut(ベアトリス・ベリュ)について書いてみました。
その取り組んでいるリストを中心とする作品が非常に興味深くて、哲学的ながら個人的な体験談や思いを丁寧に組み込みながら作られる演奏は派手さはなくとも深く入り込めると思っています。
なのでぜひチャンスがあれば生で聴いてみたいなと思ってます。