小曽根真『OZONE 60 CLASSIC × JAZZ』コンサートの感想|チック・コリアに捧げるアンコールの『スペイン』【宮崎県立芸術劇場|2021.05.03.】
スポンサーリンク

 

小曽根真さんの60歳を記念した「OZONE 60 CLASSIC × JAZZ」のピアノソロ・コンサートツアーの宮崎公演に行ってきました。

特に2021年に入ってから小曽根さんの音楽にハマりっぱなしで、宮崎公演が発表された時はすぐに飛びつきました。

少し後に47都道府県回るということを知ったのですが、知っていても宮崎公演は行っていたであろうし、鹿児島公演は1億2千%行きます。笑

小曽根さんメインのコンサート、ソロ・コンサートは今回が初めてですが、生で小曽根さんの「姿」を見るのは二回目です。

初めて見たのは2016年の鹿児島・みやまコンセールで行われたチック・コリアのソロ・コンサートでした。なんとアンコールで登場してチックと連弾を披露してくれたんですね。

凄く楽しそうに笑顔で演奏しているのが印象的でした。

その当時は僕がピアノを習い始めて1年くらいで、クラシックとかジャズにも少しずつ興味が湧いてきていて、でもあまりよく分かっていないという状況。

それでもチック・コリアの「スペイン」は確実に僕をジャズへ誘ってくれた曲ですし、あれから月日が経って、少しずつですが色々な音楽を聴いてきて、こうやって改めて小曽根さんの音楽に魅了されている今、その時の事を感慨深く思っています。

そのチック・コリアが2021年の2月に亡くなってしまって、今となっては物凄い貴重なシーンを目の当たりにしていたんだと思いますが、...R.I.P チック・コリア。もっとあなたの音楽を聴いていたかった。

小曽根さんは今回、チック・コリアへの熱い思いと共にツアーを回っていると思います。

宮崎公演でのアンコールは...

チック・コリア「スペイン」

でしたから。

スポンサーリンク

セットリスト(曲目)

  1. ガッタ・ビー・ハッピー
  2. ストラッティン・イン・キタノ
  3. 20の小練習曲 作品91 第8番 ロ短調(モシュコフスキー)
  4. ニード・トゥ・ウォーク
  5. オールウェイズ・トゥゲザー
  6. 小さなジーグ ト短調 K.574(モーツァルト)
  7. ピアノ・ソナタ 第7番 変ロ長調 作品83 《戦争ソナタ》 第3楽章(プロコフィエフ)
  8. ピアノ協奏曲 第2楽章 ホ長調(ラヴェル)
  9. ザ・パズル
  10. 耳を澄ませて/Listen
  11. オベレク
  12. 誰かのために/For Someone
  13. スペイン(チック・コリア)
スポンサーリンク

「OZONE 60 CLASSIC × JAZZ」宮崎公演の感想

アイザックスターンホール

※当日のエピソードだったり雰囲気だったりを中心にゆるく書いてます。

コンサート当日、かなりワクワクしていてあまり寝れず(笑)、それでも車をかっ飛ばして宮崎まで向かいます。

着いたはいいものの駐車場が空いておらず、グルグル何周も回ってやっと空いて急いで停めます。

席に着いたのはなんと5分前!!危ねぇ〜w

席は7列目と中々に良い場所。

今回の会場は宮崎芸術劇場(愛称が「メディキット県民文化センター」)の中のアイザックスターンホールです。

見に来ている人の年齢層は結構高めで自分の周りは年配の人が多かったですね。小曽根さんももう60歳ですし、同年代の方が多いのかも?

5分前に席に着いたのですぐにコンサートが始まります。そして...

小曽根真さん登場。

遂に小曽根さんのピアノが聴けると胸が高まりつつ1曲目の「ガッタ・ビー・ハッピー」の演奏が始まりました。

音の響きを確かめるように、味わうように弾いていたのが印象的で、

これこれ!!この味わい深くて噛み締めるような音楽がたまらない!!!

ガッタ・ビー・ハッピーは最初の方がスローに歌うような曲で、その雰囲気を最初から堪能できました。

照明が落ちてライトアップの演出まであるとは知らなくて、これまたジャジーな空気感がたまりません。

1曲目が終わるとMCが入って早速「来る前に羽田でPCR検査をしたら陰性でしたが性格は陽性です。」とギャグを飛ばしていましたがw宮崎には以前、宮崎国際音楽祭でモーツァルトの協奏曲を弾いた思い出があるとおっしゃっていて、正に小曽根真のクラシック黎明期ですね。

おそらくその時の動画がコレだと思われます。

▲YouTubeより引用/2006年の宮崎国際音楽祭でのモーツァルト ピアノ協奏曲第9番

その後の曲はちょっと妖艶なと言いますか、大人の雰囲気のある「ストラッティン・イン・キタノ」(ちょっと照明も紫っぽかったような)、リズミカルでブルージーな「ニード・トゥ・ウォーク」、「オールウェイズ・トゥゲザー」。

ちょっとセットリストとは前後しますが、クラシックからは「20の練習曲 第8番(モシュコフスキー)」、「小さなジーグ(モーツァルト)」、「ピアノ・ソナタ第7番 第3楽章 『戦争ソナタ』(プロコフィエフ)」、「ピアノ協奏曲 第2楽章(ラヴェル)」。

クラシックはジャズアレンジもありつつ、どれも綺麗な旋律で特に印象に残ったのがプロコフィエフの「戦争ソナタ」とラヴェルの「ピアノ協奏曲 第2楽章」でしたね。

実はプロコフィエフの戦争ソナタはあまり得意ではなくてですね(苦笑)、そんなに聴いてこなかったのですが、この曲、ジャズと相性良くないか?と。

すごくリズミカルで、ノリが良くてかなり迫力あります。フィニッシュのところはそれの最高潮で、これで最後だぁーー!!!!!!ダン!!!って感じで終わるので、おぉーーブラボーーー!!!ってなりますよね。言葉ではあまり言えないご時世なので皆さん言葉では発していませんでしたが、拍手にかなりブラボーー!!!の熱がこもってる感じがしました。

小曽根さんも後半じゃ持たないからと言ってましたから、弾く人は相当大変そうです。

ラヴェルの協奏曲は、戦争ソナタとは打って変わって非常に美しくて綺麗な旋律でしたねぇ。途中の旋律があまりに綺麗で改めて良い曲だなぁと思いながら聴き入ってました。

ラヴェルの協奏曲はハービー・ハンコックも弾いていて...という話をMCでしていて、このハービーの演奏(「ガーシュウィン・ワールド」に入っています)も心に染みるような、そんな素晴らしいラヴェルです。

ラヴェルの後は「ザ・パズル」。普段は確かトリオで弾いてるって言ってたかな?

この曲はノリが良くて小気味好い感じで、まさしくパズルを解いているように駆け巡る感じです。印象に残っているのが最後の最後。パズルのピースをここまで揃えて残り1ピース!という感じであらゆる音を残してそのまま響かせて、最後にこれで完成!というかのように1音残して終わるというのが生で聴くと強烈でしたね。

「オベレク」は2台で弾いているものを全部一人で弾いて、手拍子も入れて忙しそうでした。が、凄くカッコいい曲でポーランドの民族舞踊から由来しているらしいですね。角野隼人君のラジオで今度一緒にやろうみたいな事を言っていたのでかなり楽しみにしています。

そして「耳を澄ませて(Listen)」と「誰かのために(For Someone)」。

この2曲はもうね、たまりませんでしたね。

「耳を澄ませて」は奥さんである神野三鈴さんに向けて書かれた曲という事で、心に染みる優しいスローバラードです。小曽根さんが曲紹介をして「聴いてもらえたら...聴いてください...」(ちょっとうろ覚えですが)と言い直したのが印象に残っていて、これはしっかり聴かねば!と思って少しの間目をつぶって聴いてました。

そりゃあ弾いている姿を一瞬たりとも逃したくはないのですが、耳だけに集中してみようと思って聴いていたら、もうね、極上の世界でしたね。

そこでピアノを弾いているのは...小曽根真!!なんて贅沢な時間を過ごしているんだ俺は!!

と感じたものです。

「誰かのために」はより穏やかで少し物悲しい感じなのが印象的な曲。医師・中村哲さんの「誰かのために」という言葉からのタイトルで、Jazz Lifeで「耳を澄ませて」と共に、

僕は基本的に、悲しさや切ない雰囲気で始まったとしても、どこかで救いを作りたいと思って曲を書いています。でも、この2曲には救いがありません。一生懸命やっているのに上手く行かないこともありますよね?

と語っていて、この日のアンコールを除いた最後の曲だったんですが沁みましたねぇ〜。このご時世での複雑な気持ちに寄り添ってくれる、そんな一曲です。

そして、アンコールはなんと、

チック・コリアのスペイン

この曲を弾く前にチックのことに触れて、凄く込み上げるものがある事、60歳と80歳の記念にコンサートツアーを行うつもりだった事を話してくれました。

小曽根さんの今のスタイルというか音楽に対するスタンスはチック・コリアに影響を受けている部分も沢山ありそうですからホントに残念だったと思います。

スペイン、と小曽根さんが言った時は「マジかぁ、スペイン聴けるのか...」って、もしかしたら多分マスクの下でゴニョゴニョゴニョリータって口に出しちゃってたかもしれませんが(笑)感無量でした。

演奏はかなり情熱的だったように感じました。まだチックと喋り足りないかのように、まだやり残したこともあったのに、と思いをぶつけているような演奏でした。

いや〜もうね泣きそうでしたね。いや、泣いてたかな。

ホントに大満足で、感慨深くもあるコンサートでした。終わって欲しくなかったなぁ。でも鹿児島公演を楽しみに。

この日は改めて「OZONE 60」のアルバムを聴きながら帰路につきました。

そうそう、途中のMCで凄く納得したことがあって

「僕はオスカー・ピーターソン以外のドジャズと呼ばれるマイルス・デイヴィスとかあまり興味がなくて、元々映画音楽とかそういうものが好きでマイルスとかはバークリーに行ってから聴くようになったんです。アルバム「OZONE 60」のジャズサイドは「SONGS」と付けていて歌は入っていないけど僕にとってはメロディーは凄く大事。」(これも一言一句正確ではないですスミマセン)

という様な事をおっしゃっていて。

だからか!!と思って。(何が?笑)

小曽根さんの曲はすごく歌心があって、めちゃくちゃメロディーメーカーだよなと思っていて。そこが僕にとってはめちゃくちゃ刺さってハマっていくキッカケになったんですけど、この話を聴いてなるほどと。だからあのメロディが生まれてくるんだなと思いまして。

貴重な話も聞けてホントに大満足。

スポンサーリンク

おわりに

初めてのソロ・コンサートは極上の時間を過ごさせてもらいました。

アルバム「OZONE 60」はかなり聴いていたのでしっかり楽しむことができました。アンコールを除けば全曲新曲というストロングスタイルでしたね。

そして途中のMCもさすが関西人という感じで笑いも取りつつ楽しい時間でした。

その人柄がやはり演奏に現れているのか、そのお人柄だから演奏がそう聞こえるのか分かりませんが、少し物悲しいバラード曲でもどこか陽な雰囲気を感じさせてくれて、少しでもハッピーな方に向かわせてくれます。

歌心と遊び心が溢れている小曽根真の演奏をしかと聞かせてもらいました。鹿児島公演も楽しみにしています。

最後の最後に。実は今回、コンサート前半はトイレ(大)を結構我慢していたというオチがありました。途中で抜けるかどうか真剣に悩むくらいwww僕はお腹が猛烈に弱い。(どうでもいいw)

 アルバム

 関連記事

 

スポンサーリンク
ブログランキング・にほんブログ村へ