2021年11月3日に鹿児島の市民文化ホールで行われた小曽根真さんのコンサートに行ってきました。
5月に宮崎でのコンサート以来、2021年は2度目。地元・鹿児島にも来るとなったらそりゃもう行くしかない。
少し余談ですが、9月に人前での本番(ピティナ・ステップ)で小曽根さんの「Reborn(Short Ver.)」と「Asian Dream」を弾いたりもしていて、このコンサートへの思いもまたひとしおです。
とんでもなく小曽根真の音楽にハマってますね。笑
アルバム「OZONE 60」からの選曲は宮崎公演からも変わらずですが、それにプラスして宮崎ではチック・コリアを感じるようなコンサートでしたが、今回の鹿児島ではオスカー・ピーターソンの香りを感じるような、そんなコンサートでめちゃくちゃ素敵なコンサートでした。
コンサート当日の雰囲気や感想をお届けできればと思います。
Contents
セットリスト(曲目)
- ガッタ・ビー・ハッピー
- ニード・トゥ・ウォーク
- 小さなジーグ ト短調 K.574(モーツァルト)
- 20の練習曲第8番(モシュコフスキー)
- オールウェイズ・トゥゲザー
- ストラッティン・イン・キタノ
- ピアノ・ソナタ 第7番 変ロ長調 作品83 《戦争ソナタ》 第3楽章(プロコフィエフ)
- ピアノ協奏曲 第2楽章 ホ長調(ラヴェル)
- 枯葉
- 耳を澄ませて/Listen
- オベレク
- クバノ・チャント
- 誰かのために/For Someone
「OZONE60 CLASSIC × JAZZ」鹿児島公演の感想
会場の鹿児島市民文化ホール(川商ホール)は家から15分〜20分程と近くて、少し余裕を持って到着。
前回の宮崎では5分前に何とか駐車場に止めて、ギリギリで入るも前半はトイレを我慢せざるを得なかったという少し残念なエピソードがあるので。苦笑
桜島も綺麗に見えて気持ちの良いコンサート日和。
会場はライトアップされていて雰囲気も抜群!やはりこのライトアップはワクワクしますね。
チケットはかなり早めに取ったので一番前のこの席。まさに「かぶりつき」の席!欲を言えばもうちょい左がよかったなぁなんて。笑
自分の右側の通路を挟んだ席には外国の男性の方が座っておりました。鹿児島在住なのか、はたまた旅の方なのかは分かりませんでしたが、さすが世界のOZONE!!
新曲のジャズが中心の前半
前半は「OZONE 60」の新曲ジャズが中心のセトリ。
1曲目はやはり「Gotta Be Happy(ガッタ・ビー・ハッピー)」。
最初の、その日の響きを確かめるように、曲に入り込んでいくようなイントロがたまらなく印象的です。この日は宮崎の時よりも少し音数多めな感じのスタートだったかなと。
「Need To Walk」、「Always Together」も含めてドライブ感のあるハッピーな曲、演奏。たまりまへんわ。笑
前半最後の「ストラッティン・イン・キタノ」は僕自身気に入っている1曲で、妖艶なというか夜の大人の色気を感じるディキシーランド。神戸の北野周辺へのリスペクトを込めた曲で、特に馴染みの深いライブ・レストラン「SONE(ソネ)」に対しての思いが多分に乗っている1曲。
この曲を作っている時にちょうどラフマニノフを弾いていたらしく、その影響が入っちゃってるとMCで語っていて、また別のインタビュー記事でプロコフィエフの影響もあり、ロシアの風が吹くような1曲になってる模様。
だからかな、ラフマニノフ大好きなんでこの曲凄く好きなんですよね。笑
途中で「小さなジーグ」、「モシュコフスキーの練習曲」などのクラシックの小品が入りましたが、それも含めて軽快でハッピーな印象の前半でしたね。
クラシカルでちょっとシリアスな後半
後半はちょっとクラシック多めな感じ。
プロコフィエフの「戦争ソナタ」から始まって、今回はアレンジなしの「そのまま」を弾いてくれました。珍しい!と思いながら次の曲はラヴェルの「ピアノ協奏曲」。
この曲はハービー・ハンコックも弾いたりしてますが、まあ何とも綺麗な曲なのです。美しい響きがたまりません。
元々は協奏曲で、小曽根さんもラフマニノフのピアノ協奏曲を弾いてることもあって、それにちなんでこの時期にちょうどやっていた「ショパンコンクール」にもほんの少しだけ触れてくれました。
「協奏曲は60のおっちゃんが弾くもんじゃない。笑)それこそショパンコンクールに出ていた反田さん、小林愛実ちゃん、かてぃんくんとか、若い人が弾くもの。」
って冗談交じりながら言ってましたね。最近のかてぃんこと角野隼人くんとの親交も暑いですが、いつか反田恭平指揮で「ラプソディ・イン・ブルー」を聞いてみたいですよね。
クラシカルな後半ですが、なんと「枯葉」も弾いてくれました。ちょっとバッハっぽいクラシックな始まりから枯葉に変化していきました。
弾き終わってからのMCで、照明がちょっと茶色がかっていたから弾いてしまったとのこと。最高すぎる。笑
このバッハっぽい感じから変化する感じ、小曽根さんがブラジルでアントニオ・カルロス・ジョビンの曲をアンコールで弾いたような感じで...たまらねぇ...
っと脱線してしまう。笑
そしてこれまたお気に入りで大好きな「耳を澄ませて」。この曲はとにかく響きが美しくて、この日だけのアドリブも入りいつまでも聞いていたい曲。いつか自分でも弾いてみたいと思ってます。
後半の締めくくりはポーランドの魂が入った「オベレク」で締めくくり。
後半はちょっと感傷に浸る感じがあったり、響きを楽しむ感じで堪能させてもらいました。
オスカー・ピーターソンを感じたコンサート
アンコールは弾き始めてびっくり「Cubano Chant(クバノ・チャント)」。
マジか!と思って、マスク下でゴニョゴニョモゴモゴ興奮してました。笑
完全に斜め上というか、他のコンサートのセトリを事前にチェックしたりしてて(どんだけw)、チック・コリアの曲やRebornあたりが多かった印象なのでビックリでした。
クバノ・チャントを弾き終わってからのMCで、この曲を12歳の時、かぶりつきの席で見てピアノを始めて...という話をしてくれまして。
本当は次に弾く「誰かのために」がアンコールの予定だったみたいですが、何かを思ったんだと思いますが、この曲を弾いてくれました。いや〜自分にとっては最高のサプライズでしたね。
そして最後の最後が「誰かのために」。中村哲さんの言葉と、その行動力に影響されて作られた曲。
弾く前にエピソードとして、昔、カラオケの伴奏をしていたことがあって、とあるおっちゃんにお前の伴奏は弾きやすい、と言ってもらえて、それが誰かのためになっていると実感したエピソードとして話してくれました。
この世の中だからこそ、ほんの少しでも「誰かのために」と思って行動したいなと思える、そんな一曲です。
テクニックとか、なんていうのかな、技術だけじゃなくて彼からその...もらった宝物っていうのは感動するっていうことだったんですね。でなぜ僕がずっとピーターソンのスタイルを弾いてきたかっていうのは、とにかくそうゆう風に弾いてる僕が幸せでしょうがない、もうこれだけは誰にも、なんと言われようとピーターソンみたいに弾いてる時の自分はもう本当に幸せだった。それが時間と共に自分がこう...デビューしたり、あの...年とともに今度は自分の音楽を作って、それで自分が幸せになれるものを作っていかなきゃいけないってゆう風に、こう...変わってきたんです。
と仰っていました。
好きなものに対しての気持ち、ひどく個人的だけど、そんな誰にも侵されない気持ちが人を幸せにするし、そんな気持ちが実は凄く大切、そして他の誰かにその気持ちを少しでも持ってもらえたら、という、そうゆうメッセージもあったのかなと勝手に受け取っていたりします。
途中で弾いてくれた「枯葉」は誰しもが弾いているスタンダードナンバーですが、アンコールのクバノ・チャントと並んでアルバム「Dear Oscar(ディア・オスカー)」にその演奏が収められています。
それもあってより一層、そのようなメッセージ、小曽根さんの敬愛するオスカー・ピーターソンに対する気持ちを感じられる、そんなコンサートになりました。
おわりに
鹿児島でこのアンコールを聞けたのもあるし、たまたまかもしれないけどアンコールを含めた「好きなものへの気持ち」というメッセージがかなり響きましたね。
僕のコンサートを、とか、僕のピアノの音色を聞いてくれた時に何かウッと思ったような、共鳴するものがあったとしたら、僕はその人たちに何かオスカーからもらった大切なものをそこで次にこうバトンを渡せたんじゃないかなという風に思うんですね。
先ほどの引用の続きの言葉ですが、僕は小曽根さんの音楽から「好きなもの」への気持ちを持つ素晴らしさを教えてもらいましたし、その「気持ち」の続きとして、たくさんのバトンも確かに受け取らせてもらっているのかなと思います。
これからもたくさんコンサート行って、たくさん感動して、自分でも演奏して、誰かとこの感動を共有していきたいと思います。
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